クリスマスが近づいてきました。子どもたちは今日も良い子に寝ています。夜中、ママもパパもみんなが寝ているころ、1人の男の子は目を覚ましました。
すると外から、「リンリンリン」と鈴の音が聞こえてきた気がしました。窓の外を急いで見てみると、何もありません。気のせいだったのかと思い、そのままお布団に入って眠りにつきました。
次の日、男の子は弟と妹に昨日の夜の話をしました。
「鈴の音なんかしなかったよ」と弟は答えました。
「寝てたから聞こえなかっただけだよ。ほんとに聞こえたんだよ。きっとサンタさんがもう側まで来てるはずだよ」と男の子は答えました。
「なら、今日ママとパパが寝たら、サンタさんを探しにいこよ」と妹が言うと
男の子も弟も大賛成!3人は夜の大冒険の計画を立てました。
まずはママとパパにバレないようにどうしたら良いのかを考えました。
「ママとパパが起きないように眠くなる音楽をかけよう」
「ママが早く寝られるように、みんなで片付けを手伝わなくっちゃ」
3人はお手伝いをすることを決めました。男の子はお風呂掃除を。弟は机の上をきれいにして、妹はおもちゃを片付けることにしました。
その日ママは少し驚いていました。いつも「手伝って」と言ってもなかなか手伝ってくれない子どもたちが今日は何も言わずにお手伝いを頑張っているからです。
ママはいつもより早く片付けも終わり、とても嬉しそう。子どもたちは、計画通りに進み嬉しくなりました。
その夜は眠くなる音楽をかけてお布団に入りました。こちらも計画通り、ママもパパもぐっすり寝ています。3人はしずかに起きてきて、あったかい服に身を包みました。水筒とお菓子もリュックに詰め、サンタさんの鈴の音がしてくるのを窓のそばに座って待ちました。
しばらくすると、妹はウトウトし始めました。それに気づいた弟は
「起きて!今寝たらサンタさんに会えないよ」と妹を起こしました。
妹は眠たい目を擦りながらも頑張って起きました。
どれくらい、待ったでしょうか。遠くから鈴の音が聞こえてきました。3人は大興奮で、鈴の音が聞こえなくなる前に急いで外に出ました。
鈴の音が聞こえる方へ走りました。どんどん音が大きく聞こえてきました。鈴の音は雲の中から聞こえました。3人は空高い雲の方へジャンプしました。
すると、雲の中へと吸い込まれていったのです。
3人は雲の上まで出てきました。空いっぱいの星とお月様の光で明るく照らされていました。鈴の音はまだはっきりと聞こえています。3人は歩き続けました。鈴の音のする方へ。
歩いても歩いても音が聞こえるだけで、サンタさんの姿は見えません。それでも3人は諦めずに歩き続けました。少し疲れてきた3人は水筒のお水を飲んで、持ってきたお菓子も食べました。休憩もすぐ終わりにして鈴の音が聞こえなくならないように、追いかけ続けます。
まだサンタさんの姿は見えてきません。それでも3人はとても楽しい気持ちでいっぱいでした。だって雲の上を歩くのなんて初めてですし、こんなに近くで星空を見るのも初めてなんですから。雲はとても柔らかくて足だって疲れません。
「サンタさんにあったら持ってきたお菓子分けてあげようよ」
「最初はなんて声をかけようか?」
「こんばんはかな?サンタさんですか?って聞く?」
「見たらすぐにサンタさんってわかるよ。だって赤い服を着てるんだよ」
「でも、今日はクリスマスじゃないからパパみたいな洋服を着てるかもよ?」
「でもトナカイと一緒にいたらすぐわかるでしょ?」
「トナカイはサンタさんとしか一緒にいないわけじゃないでしょ?でも空飛ぶトナカイはサンタさんしか飼ってないかも」
どれくらい進んだのか、今どこにいるのかも分かりませんでしたが、こんな話をしながら歩き続けていると、なんだか少し鈴の音が大きくなってきたように感じました。
3人はワクワクしてきました。
サンタさんの鈴の音が大きくなってくるにつれて、雲の上を歩いていた3人は少しずつ、雲の中へと入っていきました。雲の中も星や月明かりで明るく照らされていたので、3人は怖がらずに歩くことができました。
「リンリンリン リンリンリン」
音が真上から聞こえてきているような感じがして、3人は上を見上げました。でも雲の中から外を見ることはできません。
サンタさんがすぐそこに居るかもと思った3人は心臓がはち切れそうなくらいドキドキし始めました。それまで楽しくおしゃべりしながら歩いていた3人も、置いていかれてはいけないと、話も止まり、上を見上げながら歩き続けました。
3人はいつの間にかしっかりと手を握りしめていました。
会えるかもしれない。そう思うとなんとも言えない気持ちでいっぱいになりました。
『お家に戻りなさい。手を離してはいけないよ』
雲の上から声が聞こえました。3人が「サンタさん!!」と声を出したころ
3人はいつものお家のお布団の上にいました。リュックも水筒も持ってません。あったかい服も着てません。いつものパジャマを着て布団の中にいました。
3人は顔を見合わせました。
「サンタさんだったよね」
「うん!!!サンタさんだったよ!」
「見えなかったけど、声聞こえたよね!」
「サンタさんとお話ししちゃったね」
3人は興奮して喋ります。3人の声で起きたママに
「まだ朝じゃないよ。寝る時間だよ」と言われ、3人は眠りにつきました。今日の旅はママにも内緒です。3人の手はぎゅっと繋がれたまま朝までぐっすり眠りました。
朝になっても、昨日のことは忘れていません。きっとずっと忘れないでしょう。
終わり
